フリーアドレスへの道
~The Load of Free Adress~
1.プロローグ
新年、正月休みも明け、社員がやっといつもの仕事のペースに慣れてきた1月15日。
すべては企画会議での社長の一言から始った。
「弊社でフリーアドレスを検討してみたい!!」
「フリーアドレス??」
弊社は社員160人強。その中で40人が業務、管理の部署として本社事務所で働いている。フロアの内訳として、1F打合せ・応接室、2F、3Fに分かれて各部署の席が配置されているスタイルである。
中小企業ではあるが、時代の流れにのった「働き方改革」に取り組んでいる。最近では、仮眠室の設置や週2回のパーソナルトレーニング開催、私服での通勤緩和など、あらゆる変革を進めている。
しかし、フリーアドレスは働き方そのものが変わる。その場にいたメンバーは新しいオフィスで働ける希望とは裏腹に、果たして自社社員が対応できるだろうか?そんな不安を感じていた。
フリーアドレスって??
フリーアドレスとは何か?簡単に説明すると、「決められた席」では無く、「好きな席、好きな場所」で仕事をすることができる。フリーは「自由」、アドレスは「所在」を表す。
近年では、政府が成長戦略として働き方改革に力を入れる中、社員の勤務形態を変える施策としても脚光を浴びている。東京23区でも、半数近くの企業が導入又は導入を検討中だとの回答しており、コミュニケーションの活性化や生産性アップを図っている。
インターネットで検索すると、いろいろな成功事例、失敗事例の情報が入ってくる時代である。そこから得た知識をまとめ、自社の目指すオフィスとイメージを重ねながら検討は進んでいった。
なぜ今フリーアドレスなのか??
社内ヒアリングする中である意見を聞くことが何度かあった。どうも年配の方からするとフリーアドレスは真新しいものでは無いらしい。
1990年代、デスクの共有化や空席の回転率を高めることによるスペースコストを減らす目的でのフリーアドレスが流行ったようである。だが、コスト削減のために席を減らすというアプローチは機能せず、広がりを見せなかったようだ。
しかし、現在はテクノロジーが劇的に進化したことにより、コミュニケーションやデータ取り扱い方が大きく変化した。固定されていた電話はスマートフォンに、簡単に持ち運べなかったコンピュータは手軽に運べるノート型パソコンに、莫大な量の紙の資料はデジタル化しクラウドやサーバーからいつでもどこでも閲覧できるようになった。テクノロジーの進化により、働くということが場所に制限されなくなった。
他方、自社に目を向けてみる。ここ2、3年で社員が大きく入れ替わり、新しいメンバーが加わった。また、いろんなシステムやアイディアを取り入れた成果もあり、社内の雰囲気や社員の意識、働き方に少しずつ変化が芽生えてきた感がある。このタイミングを逃すと次にいつ実施できるかわからない。
フリーアドレス導入は「多様な働き方のきっかけ」や「より円滑なコミュニケーション」に対し、十分な効果が期待できると考えた上での決定となった。